【白井さんのエッセイ】百貨店やスーパーなどで・・・

2017年10月05日

 百貨店やスーパーなどでお惣菜を買う人がどんどん増えています。保存食としての煮豆や浅炊きの佃煮のようなもの、しっかり煮含めた惣菜まで、品ぞろえもますます豊かになっています。どうやら若い働くお母さんたちは、もはやささっと作れるものしか料理の時間がなくなってきたのでしょうね。料理研究家としては「分かるなぁ~」とつぶやきながらもちょっとさみしい・・・。



だしの味わいを伝えたくて、これなら・・・とお伝えしているのは、昆布を水に浸けて寝て、朝それを火にかけてかつおぶしをひとつかみ入れてこすだけ。そこに塩をひとつまみ。あればほんの少し淡口醤油で仕上げて・・・。
 
これを近所に住む若い世代にプレゼントしました。夏場冷たく冷蔵庫に入れておいたペットボトルを渡したあとの感想と喜びの声。「おいしかったぁ!これってミネラルがスーっと体に染みた気がしますね。子供たちはドリンクのように欲しがります。ダシ、ダシ、というようになりました。」うれしい・・・。近所に住む同じ空気と風を感じている人間として、ただ、あ~よかったぁ~って。

このままだと、やがてだし昆布もかつおぶしも消えていくのではないかと案じます。ちゃんとしたものを伝えるには、少しくらいちゃんとしていない方法でも大丈夫。なにより素材の大切さを次の世代に伝えたいと思うのです。


白井さんのエッセイ&その他のレシピはこちら

白井さんのエッセイ&その他のレシピはこちら